プレシジョン・イムノセラピー
日本バイオセラピー学会(12月13日、14日京王プラザホテル:写真上)へ参加しました。この学会は31年前の設立当時から癌の免疫療法・生物学的治療の発展を目指すと云う当時としては珍しい学会で、長らく評議員を務めさせていただいた、思い出の多い学会の一つです。ここ数年のトピックスは免疫チェックポイント阻害剤を中心とした効果、副作用、効果予測等の演題ですが、一方、近年の著しい遺伝子解析技術の進歩を踏まえての癌組織および周辺の免疫環境に関する様々な知見が報告されていました。
そうした進歩を踏まえて今学会会長の有賀教授(東京女子医大:写真下)はプレシジョンイムノセラピー(Precision Immunotherapy)として紹介していました。今後の展開が期待されます。
プレシジョンメディシン(Precision medicine)という言葉をご存知の方も多いかと思います。元々は個々の患者さんそれぞれに対する最も適した医療(個別化医療)という意味ですが、2015年当時のオバマ米国大統領が、近年の遺伝子解析技術の進歩を踏まえたPrecision Medicine Initiative を打ち出した事から一躍有名になりました。
しかし元来、免疫治療(イムノセラピー)の分野においては、遺伝子解析技術の進歩する以前から、個々の患者さんの癌細胞に対して、特異的なキラー細胞を誘導する試みが行われてた訳で、当クリニックで実施している自家がんワクチン療法もこうした個別医療の草分け的存在と考えています。