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第78回日本癌学会に参加しました。

[2019.10.03]

 秋のお約束で今年も癌学会(9月26日木曜〜28日土曜、京都)に参加してきました。例年は木曜(休診日)のみの参加ですが、今年は免疫関連の演題が多く、27日(金曜)の午前中、お休み(臨時休診)をいただいて、午前11時半まで聴講することができました。今や癌免疫療法は、内科的治療の選択肢として重要な位置付けがされていますが、抗PD1抗体単独では、有効性は20%程度で、かつ免疫関連の特殊な副作用の頻度も高いなど、その限界も見えてきています。こうした状況から、どのような薬剤と組み合わせるか、また副作用を軽減し、かつその効果を高めるにはどうしたら良いかといった研究が多く発表されていました。またここ数年話題になりつつある腸内細菌の癌免疫に及ぼす効果に関しても、菌の同定や、そのメカニズムの解析研究が注目されていました。 しかし今回の学会で私が最も興奮した演題は、Z100の抗腫瘍効果に関するものでした。Z100は現在、放射線治療による白血球減少を抑える薬剤として保険適応があります。今回はマウスの実験系ではありますが、Z100を担癌マウスに接種し、その腫瘍の縮小効果が、メカニズムに関する詳細な検討とともに発表されていました。何を隠そうこのZ100とは丸山ワクチンの濃縮版なのです。演者も発表の中で丸山ワクチンという言葉を使っていましたが、こうした研究が、癌の基礎研究で最も権威ある日本癌学会のメインホールでのシンポジウムに選ばれた事は、非常に意義深いものと考えます。

 

 PS 学会初日ランチョンセミナーの後の眠くなる時間帯に、宝ヶ池の国際会館(学会場)から歩いて20分弱の円通寺を訪れました。昨今の京都は、どこも外国人観光客で溢れかえり、古都の風情を味わうことが難しくなってきています。しかしここ円通寺はいつものひっそりとした佇まいで迎えてくれました。 比叡山を借景としたこの庭園は、50年前に初めて訪れた時と変わらぬ風情を残していました。やや霞んで見える比叡山ですが、空気の澄む晩秋ともなれば、くっきりと紅葉を纏った姿と、生垣、枯山水との見事は調和が楽しめます。

 

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