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セレンディピティ

[2018.12.10]

Serendipity (セレンディピティ) と言う言葉は、一般の方はあまり聞き慣れないかと思いますが、研究者の間では「自身の研究が思わぬ形で実を結んだ」際によく使われています。Wikipediaでは「何かを探しているときに、探しているものとは別の価値があるものを偶然見つけること」と説明されています。

12月7日カロリンスカ研究所(ストックホルム)で行われた本庶先生のノーベル賞受賞記念講演の演題は「Serendipities of acquired Immunity:獲得免疫が与えた想定外の幸運」でした。獲得免疫:すなわち哺乳類が、成長していく過程で、様々な異物(病原体など)を認識し、それらから体を守るために自らが作り上げていく防御機構のことです。先生は、獲得免疫の中で最も重要な抗体産生のメカニズムに関して精力的に仕事をしてこられました。そして、その過程でPD-1分子を発見し、更にその機能の解析を通じて、この分子の働きをブロックする事が、癌の治療に結びつく事を発見しました。近年、癌治療薬として有名になったニボルマブ(抗PD-1抗体)は先生自らが世に送り出したもので、今回の受賞はその功績が評価された訳です。先生は、講演の中で何回も happy あるいは fortunateと繰り返しておられましたが、私はセレンディピティと云う言葉の中には、単なる偶然ではなく、常に弛まぬ努力を重ね、その都度得られた結果を厳密に評価・検討しながら研究を進めてきた事にたいするご褒美として訪れた幸運と云うニュアンスが含まれていると理解しています。(イラスト:ノーベル財団ホームページより)

 

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